長く鉄道趣味の世界では鉄道貨物用の貨車、とりわけ一般企業が保有する私有貨車については未知なる領域といってよいものでした。私有貨車とは昭和40年代から国鉄が進めた物資適合輸送といわれる、物資ごとに専用の貨車を作り、安全で効率的に輸送するという目標のもと、化成品など特殊な物資を専用貨車の編成によって運行する方式で、国鉄では貨車を用意しきれない特殊性の高い物資について、荷主企業の手によって貨車を製作・保有し、国鉄車籍の貨車として管理・運用されてきたのが私有貨車です。 これらの未知の領域だった私有貨車について初めて体系づけて解説したのが貨車研究家である吉岡心平氏の手による『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑』です。初版は1996(平成8)年のことでした。それから12年後の2008(平成20)年に増補版として復刻されましたが、新たな貨車ファンや、従来からの読者に、復刻版を求める声は依然と多く、ここに令和復刻増補版として新たに7形式を追加し刊行しまたものです。 この本は2008年の増補版を基本とした復刻版としつつ、2025年の今日まで17年の歳月を経ていることから、本書の増補版発行以降に登場した私有貨車7形式を新たに増補版として解説を追加しました。
~記事内容~本書の使い方私有貨車解説タンク車ホッパ車大物車車運車その他補遺編令和増補編・タキ1200/タキ1300/チキ5400・5450/ホキ1100/コキ2000資料編