家とは、住まいとその中に含まれるすべての物体だけで完成しているものを指すのではありません。ひとりひとりの住まい手が主人公として展開していく意味深いストーリーこそが、良い暮らしの基礎になっているのです。 本誌では、これをテーマに人間にとっての“HOME"とは何かを考えます。 隠とん生活を好んだ世界的ピアニストのグレン・グールドの家での暮らしぶりを拝見し、場所に対して私たちが感じる不安感について科学的に検証します。BalenciagaやRick Owensのブティックの内装を手がける建築家のジョセフ・ディランは自宅を美術館に見立てるのではなく、夜な夜なカーペットに寝転んでデザインを描いたり、音楽を聴いたりする生活について語ります。マレーネ・ディートリッヒ、ピカソ、グレタ・ガルボらも客人として迎えられ、ジャン・コクトーが11年もの間住みつき、建物全体に絵を描き続けた「ヴィラ・サント・ソスピール」にまつわるストーリーもご紹介します。ページを読み進めていくと、家が壁、床、椅子、壁紙の集合体ではないことが、きっとお分かりになるでしょう。 日本版特別付録KINFOLK BOOK IN BOOKには、今日本のファッション業界で最も注目を浴びているブランドのひとつ「mame」のデザイナー、黒河内真衣子が登場。最新コレクションを使ったファッションシューティングを展開し、次世代を担う若きデザイナーのクリエイションに対する思い、そのルーツについて迫ります。