ついに300巻を超えた長い歴史の「RM LIBRARY」から、過去の傑作巻を2~3冊分まとめて復刻する「RM Re-Library(アールエム リ・ライブラリー)」。シリーズ35巻目は、RMライブラリー第49巻「全盛期の大阪市電(宮武浩二 著)」および56巻「万博前夜の大阪市営地下鉄(荻野 基 著)」を復刻いたします。市電と地下鉄という、大阪市交通局の二大交通事業をまとめて総覧できる一冊となりました。 大阪市の市電は東京などに比べて公営となったのが歴史的に古く、街の発展とリンクしていたことが特徴です。戦前期から大型ボギー車が大量に投入されるなど、商都・大阪の象徴的存在でもありましたが、第二次大戦では空襲によって大規模に被災し、多くの廃車が発生しました。戦後の復旧と、生き残った車両の整理改番が行われたことから、本書は主に戦後以降の車両ガイドという性質で編纂されております。新性能車3001形や車体更新車2601形が活躍した戦後の全盛期は華やかではありましたが、あまりにも短い期間で急速に衰退し、1969年に全線が廃止。これは全国の政令指定都市で最も早いものでありました。 市営地下鉄も、東京と違って最初から市営として戦前に第1号線(今の御堂筋線の一部)が開業したのがはじまりです。東京よりも大型の車両で、各駅のホームは幅・長さ共に将来の発展を十分以上に考慮した非常に先進的な設備を持っていました。こちらは戦災での被害はほとんどなく、戦後は猛烈なペースで発展していきます。車両も第二世代、第三世代…と鋼製車体のまま進化していきますが、1970年の大阪万博に合わせて、アルミおよびステンレス車で御堂筋線を統一することとなり、既存の鋼製車は車齢が高いものは引退、それ以外は他の路線に転属となりました。つまりこの万博のための一大車両増備と異動がひとつの節目となるため、本書ではその直前まででの車両ガイドという方針で編纂されています。 本書の著者2名は共に大阪市交通局OBで、長年の交友関係から得られた黎明期などの貴重な写真・資料・証言などを豊富に収録。今は亡き市電と、発展期の地下鉄の両方をたっぷりお楽しみいただけます。