ついに300巻を超えた長い歴史の「RM LIBRARY」から、過去の傑作巻を2~3冊分まとめて復刻する「RM Re-Library(アールエム リ・ライブラリー)」。シリーズ39巻目は、RMライブラリー第111巻「京王線14m車の時代」、第163巻「京王線グリーン車の時代(共に鈴木 洋 著)」を復刻いたします。 京王線は元は軌道法に基づいて建設された経緯もあり(新宿駅付近の併用軌道を行く情景も本書では多数収録)、比較的小型の電車が主力を務めていました。本書前半で取り上げる14m車は、系譜としては当初子会社の玉南電気鉄道(府中~東八王子間)が開業時1925年に用意した1形(後の2000形)に始まり、両社の合併後、京王側にも多数が投入された2000番代の車両およそ70両のグループとなり、その最終増備は1940年でした。大戦中に比較的多数の車両が戦災・火災に遭いましたが、戦後にそのすべてが復旧され、大きく姿を変えたものもあり興味が尽きません。後年は戦後に誕生した大型車(16~17m車)の間に挟まるサハ化改造を多くの車両が受けたことで、編成美とは一味異なる趣味的面白さを醸し出した時期もありました。昇圧とATS整備という近代化の波に押されて1969年に全車廃車となっています。 本書後半の主題は、その14m車の跡を継いだ戦後製の2600、2700、2000、2010系を主に取り上げます。思い切って車体を大型化し、デザインや構造面でも最新のものを投入。まさに京王線近代化の礎となったグループです。2600系では前面3枚窓のややあか抜けないスタイルでしたが2700系からは2枚窓の湘南顔を採用。2000形ではカルダン駆動車に発展します。これらの電車は登場時はダークグリーン、後年にライトグリーンとなり、次世代の5000系がアイボリー色で登場後は「グリーン車」とも呼ばれて区別されていました。いずれも後継の形式に置き換えられて1980年代までに京王線からは撤退。その後一部が伊予鉄道に譲渡され、さらにその一部が銚子電鉄にて2連1本のみ現役を保っています。 本書の真骨頂は複雑な編成の変遷を当時の原資料を基に多数収録していることで、この時代の京王線を語る貴重な原典と言える一冊となっています。