ついに300巻を超えた長い歴史の「RM LIBRARY」から、過去の傑作巻を2~3冊分まとめて復刻する「RM Re-Library(アールエム リ・ライブラリー)」。シリーズ37巻目は、RMライブラリー第108・109巻「鹿児島交通南薩線―南薩鉄道顛末記―(髙井薫平・田尻弘行 著)」を復刻いたします。 鹿児島交通という会社は、今も鹿児島県内のバスやフェリーのネットワークを構築している公共交通企業ですが、1984年までは非電化の鉄道事業も担っていました。鹿児島本線の伊集院から、中心地であった加世田を経由して指宿枕崎線の枕崎までを結ぶ枕崎線が本線格で、この路線は元々南薩鉄道という名で誕生、1964年に他のバス会社との合併を機として鹿児島交通へと社名が変更されています。他に万世線、知覧線という支線がありましたが、社名変更と前後して廃止となりました。末期の枕崎線は国鉄キハ07形・キハ10形のほぼ同形車が、朱色をメインとした濃厚な南国らしい塗色で活躍していたことで知られます。1983年に豪雨にって甚大な被害を受け、再起ならず前述の通り1984年に廃止。元の加世田駅はバス車庫となりましたが、その中には非公開ながら当時の貴重な車両が複数保存されているというのも語り草です。 本書の原書は上下二分冊という形態を取っており、前半では主に設立から戦時期まで、後半では戦後から廃止時期までを取り上げています。史料を駆使した沿革編は読みごたえがあり、また車両解説は蒸機と貨車・客車がメインだった戦前から、無煙化を果たした戦後への移り変わりを鮮やかに読み解くことができます。他に地図、車両竣功図、車両諸元表といった資料も充実。さらに廃線跡を辿った、初出時リアルタイムでの記事まで収録した力作となっています。